抗生物質とは
抗生物質は、感染による病気の原因となる細菌を殺すための薬でとても重要な薬です。様々な病気で処方され、まるで万能薬のようなイメージを持たれている方も多いと思いますが、「細菌」による感染症には有用ですが、「ウィルス」による感染症には効き目はありません。
昨今、メディアにも取り上げられることが増え、抗生物質の過剰投与に疑問を持たれる親御さんも増えてきました。しかし、一方で親御さんの中には、咳や発熱の症状があるときには抗生物質が有効である、抗生物質を飲めば早く治ると信じている方がおられるのも、また事実です。日本では必要のない場合でも抗生物質が過剰に処方され、多くの人がそれに疑問を持つことなく、処方された薬を飲んでいるという現状があります。
風邪に抗生物質は効かない??
感染症には、ウイルス性と細菌性の二つの種類があり、小児の場合の多くがウイルス性の感染症です。抗生物質は細菌に対しては有効な薬ですが、風邪などのウイルス性の感染症には効果がありません。また、抗生物質の安易な使用は、薬が効きにくい「耐性菌」が増えます。そのため、当院では必要と判断した場合以外には処方をしていません。
抗生物質が害になる??
抗生物質は体内に入ってきた病気の原因となる悪い細菌を死滅させることで、病状を改善させます。しかし、その一方でもともと体内に存在していたいい細菌(善玉菌)まで死滅させてしまします。風邪を治す免疫力の獲得にはこの善玉菌が大切で、善玉菌の数が減ってしまうと、抵抗力・免疫力の獲得に非常に時間がかかってしまう場合があります。抗生物質を服用することにより、結果としてお子さまにとって有害になることさえあるのです。
当院を受診されるお子さまの多くは、発熱や咳、鼻水、下痢といったいわゆる風邪の症状で来院されます。こうした風邪の症状は、抗生物質を使わなくても、自然と治っていきます。「抗生物質を飲んだから、風邪が治った」と思われている多くの場合は、抗生物質を服用した後に自然治癒した結果であり、抗生物質は本来、むやみに飲むべき薬ではないのです。
抗生物質が有効な病気
溶連菌感染症や、急性中耳炎、などの細菌感染症に有効です。
神田小児科医院のポリシー
風邪などの一般的な子どもの病気には特効薬はありません。当院は、お子さまのつらい症状を緩和し、その経過を見守ることを診療の基本とし、親御さんへのアドバイスを心がけております。また、そのような症状のなかに稀に重篤な疾患や先天性の病気が潜んでいることがあり、その兆候を見逃さずに見つけることが小児科医の仕事だと思っています。
お子さまの薬に不安や疑問を抱く親御さんは多いです。親御さんもぜひ、抗生物質に対する正しい知識を身に付け、お子さまにとって何が一番良いかを選択してあげてください。